伝えたのに伝わっていない。
自分の意見を言えるようになりたい。
本書は、そんな悩みをもつ人におすすめの本。
著者は、雑誌と書籍の編集に携わり、10万部を超えるベストセラーを50冊以上だしている伝えるプロ。
編集者として1000人以上に取材してきたなかで、「伝わるとはどういうことか」を紹介した本。
タイトルと表紙の絵を見て、
なんか気になる。
ちょっと見てみるか。
と、なんとなく手に取ってみましたが、読んでよかった!
それでは、さっそく紹介していきます。
人は自分に入ってきた情報だけで判断する
本書では、伝え方のコツを知る前に、まず知っておいてほしいことがあると。
それは、人は伝わったことで判断するということ。
あまり努力をしていないけど、上司へのアピールが多い社員
黙ってまじめにコツコツ努力している社員
どちらが評価されやすいでしょう?
残念ながら、上司にアピールする社員の方です。
なぜなら、人は伝えられたことで判断するから。
上司なら、部下の頑張りをしっかり見てなさいよ!
そう思うかもしれませんが、現実はこんなもの。
どんなに努力をしていようと、それが伝わらなければ意味はない。
評価する人にとっては、努力しているという事実は「ない」のと一緒になってしまう。
私は自分で立てた目標がありました。
それは、施設の患者が転倒し入院することによる会社の損失額を減らすことです。
その成果がでた3年目に、結果をトップに報告。
それを機に、トップに話かけてもらえる機会が増えました。
そして、1年後には職員兼理事という役職を与えてもらうことができたのです。
つまり、伝える前の期間は「何もしていない職員」。
伝えたことで初めて、「頑張っている職員」という認識になったのでしょう。
私も、この体験をするまでは
頑張っていれば、きっと誰かが見てくれている。
そのうち、結果はついてくる。
そう思っていましたが、自分から伝えなければダメ。
これは、身をもって感じたことです。
伝えるコツは、事実+自分の意見(感情)
本書で紹介する伝え方のコツのなかで、私が身をもって「これは使える」と感じたもの。
それが、事実+意見で伝える。
そして、事実には数字を入れ込むということ。
例えば、病院内での患者の事故について伝えるとき。
事実だけを伝えると、
昨年よりも、事故件数が増えています。
事故の対策がほとんど立てられていません
だから何だ?
意見だけを伝えると、
事故への対策を立てるべきです。
なんで?
意見の根拠は?
事実+意見に数字も使ってみると、
昨年よりも事故件数は20%増えています。
50%の事故にしか対策が立てられていません。
そのため、どうしたら対策が挙がるようになるか考えるべきです!
ふむ。
わかった!
事実+意見で伝えることで、はじめて説得力がつきます。
私は6ヶ月に1度、患者の事故に関する事故をまとめています。
それをトップに説明するとき、「事実+意見」を使うようにしました。
この構成で伝えるようにしてから、意見を否定されたことは1度もありません。
他に、こんなアプローチはどう?
というアドバイスをもらう程度。
否定をされないのは、「事実+意見」の説得力の高さが理由。
会議や自分の意見を通したいときに、「事実+意見」はおすすめです。
結論が先とは限らない
多くのビジネス本で、「まずは結論を先に話しましょう」と言われています。
本書では、結論が先かどうかはその時々で異なると。
その例として、裁判をあげています。
特に、重大犯罪では判決が後回しとなることが多い。
後回しにすることを「主文後回し」といいます。
判決を後回しにする理由は、判決理由をきちんと聞いてもらうための配慮。
先に、判決を聞いてしまうと
理由なんてどうでもいい
という気持ちになってしまうから。
これは、ビジネスにも応用が可能。
例えば、相手が良く思わない結果を伝えるとき。
今年度、○○課は業績が悪化している。
立て直しを図るために、各部署から優秀な社員を○○課に送り出してほしいと依頼があった。
うちの部署からは、キミに行ってほしい。
あえて、部署移動という結論を最後にもってくる。
キミにとっては、嫌に感じるかもしれない。
だけど、こんな訳があるんだ。
という理由や背景を相手にしっかりと聞いてもらいたいときに使えます。
結論が先か?後か?
迷ったときには、相手の立場になって考えてみるよう意識していきたいところ。
まとめ【バナナの魅力を100文字で伝えてください】柿内尚文
- 人は自分に伝わった内容でしか判断しない
- 事実+意見の構成で伝える
- 場合によっては結論が後回しでもよい
聞き手が、どんな順序で話せば理解しやすいか?
不快に感じないか?
ストレスを感じないか?
「伝える」ではなく「伝わる」にするためには、相手ベースで考える。
「相手ベース」を基本に、細かな伝わるコツを学ぶことができました。
最後まで読んでも、タイトルと内容はなんとなく、一致しない感じが残りました。
でも、内容は本当に一生役立つであろうもの。
例え話が多く使われており、理解もしやすい本でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。