【まんがで身につく 続ける技術】石田敦

「健康のためにランニングを始めたけど、続かなかった」

「禁煙したいけど、すぐに自分に負けてしまう」

「資格の勉強を始めたけど、いつも翌日に繰り越してしまう」

このような経験から、「私は意志が弱いから無理だ」と思っている人は多いのではないでしょうか?

これは間違いです。続けるために必要なのは、『技術』です。

たしかに、精神力も大事です。目標に対する強い意志があれば続けることは簡単になります。

しかし、「やりたくないけど、やらなくてはいけないこと」に対して強い意志を持ち続けるのは難しいこと。

技術を身につければどんなことでも続けることができます。

本書では続けるために必要な技術、すなわち「行動科学マネジメント」を身につける方法を紹介しています。

この技術は、著者がアメリカで学んだ行動分析学を日本人向けにアレンジしたものです。

今では、日本と海外を合わせて2000社以上が導入をしています。

それでは、気になった方は読み進めていただければ幸いです。

行動科学マネジメントとは何かを知ることで、「続けることに必要なのは精神力ではない」ということが分かります。

行動科学マネジメントとは、人間の行動を科学的に研究する学問です。

「この行動をしているのはなぜか?」

「この行動を変化させるにはどうすればいいか?」

このような、答えを科学的に解き明かすことを目的としています。

そして、科学というからには「いつ、誰が、どこでやっても」同じ結果を得ることができます。

これをビジネスに応用することで、自分自身または部下の行動を変え、パフォーマンスを上げることができます。

世界でも行動科学マネジメントを導入した一流企業が大成功を収めています。

欧米
  • ボーイング
  • NASA
  • ウォルマート など
日本
  • 楽天
  • 大正製薬
  • 資生堂 など

やりたくないこと、苦痛に感じるものは特に続けるのが難しいものです。

だからこそ、精神論にまかせるのではなく技術で続けることを目指しましょう。

行動を科学的に整理する

まず知っておくべきことは、全ての行動は3つの要素から成り立っているということ。

  1. 先行条件(○○だから)
  2. 行動(○○する)
  3. 結果条件(その結果、○○になる)

実際に当てはめてみると、

  1. 空腹だから
  2. 食事をとる
  3. その結果、満腹になる

つまり、行動は先行条件があるから起こるということ。

逆に言えば、先行条件を作れれば行動を起こせるということです。

Bすけ
Bすけ

ここまでは、「あたり前のことじゃん」と思う人が多いでしょう。

しかし、ここから先が重要。

続けるためには先行条件をどう整えるかを意識するのが鍵となります。

行動は「やめたい行動」と「増やしたい行動」にわけることができます。

例えば、禁煙はやめたい行動、読書を習慣化するのは増やしたい行動です。

やめたい行動に対しては、その行動が起きにくい先行条件を整える。

禁煙が目標なら、

「喫煙所を通らない」「タバコを捨てる」「喫煙者と休憩しない」

増やしたい行動に対しては、その行動が起きやすい先行条件を整える。

読書の習慣化が目標なら、

「電子書籍を持ち歩く」「サブスクに入会する」

さらにもうひとつ、

増やしたい行動にはそれを阻害する行動があります。

例えば、「読書よりスマホをいじってしまう」「テレビを見てしまう」などです。

そのため、阻害行動を抑制するために、

「スマホをいじらないようにバックにしまう」

「テレビを見ないようにコンセントを抜いておく」など

阻害となる行動を起こしにくい環境を作ります。

先行条件に対する3つのポイント

1.発生を促進・抑制する環境

2.メリット・デメリットを作る

3.ハードルを下げる

3つのポイントを取り込んで行動を整理すると以下のようになります。

目標禁煙読書の習慣化
環境喫煙所を通らない
タバコを買える店に行かない
電子書籍を持ち歩く
枕元に本を用意しておく
メリット
デメリット
1本吸うごとに帰りは1駅ぶん歩いて帰る読書後は美味しいコーヒーとおやつを用意
ハードル1週間に1本を1ヶ月続ける1週間に2回、1回30分を1ヶ月続ける

発生を促進・抑制する環境

上の項目で説明した通り、行動を起きやすくしたり、起きにくくしたりすることです。

禁煙などやめたい行動に対しては、喫煙したい気持ちを抑制する環境を整える。

読書など増やしたい行動に対しては、やる気になる環境を整える。

メリット・デメリットを作る

メリットを感じると行動を起こしやすくなり、デメリットを感じると行動を控えるようになる心理を利用します。

増やしたい行動ができたときにはご褒美。

やめたい行動をしてしまったときにはペナルティー。

ハードルを下げる

ハードルが高いと挫折しやすくなります。

目標を達成できなかった経験をしてしまうと、心のダメージは思っている以上に大きいものです。

そのため、まずは低いハードルで短い期間の目標設定にしましょう。

まとめ

〈行動科学マネジメントとは〉

なぜ行動したのか?行動を変えるためにはどうしたらよいのか?を科学的に解き明かす学問。

この技術を使えば、いつ・誰が・どこでやっても同じ結果が得られる。

〈続ける技術のポイント〉

・先行条件を整える

・阻害行動を抑制する

・メリット、デメリットを作る

・ハードルを下げる

「スキルアップのために英語を学びたい」

「健康のためにダイエットをしたい」

多くの人が、自分をより良くしていくために新しいことに取り組む意識をもっています。

しかし、この取り組みを「続けられるか」が今後を左右する重大な分かれ道になります。

本記事で紹介した行動科学マネジメントを学問として知っている人はなかなかいないでしょう。

そのため、続けられる人は続けるための工夫を考えられる人だと私は思います。

私もそうですが、今まで続けることに失敗してきた人は精神力に任せてどうにかしようとしてきたのでしょう。

ビジネスの場面でも、

「続けられない人は意識の低い人」という考えではなく

「原因は阻害行動が起きやすい環境にあるのかな?」

「目標のハードルが高すぎるのかな?」

というように、行動に焦点をあてることで自分だけでなく組織全体を良い方向に動かすことができそうです。

続ける技術で行動が変われば、人生が変わります

続ける技術は一生もののスキルです!

まずは、本書から知ることから始めてみてはいかがでしょうか?

最後まで読んでいいただきありがとうございました。