人を動かせるようになりたい。
信頼・安心を与えられるリーダーになりたい。
リーダーとしてある程度の結果は出せている。
だけど、もう一歩先の誰からも信頼されるようなリーダーになりたい!
そんな人におすすめの本。
本書は、「好かれる話し方」でも「分かりやすい話し方」でもない。
「リーダーらしく見える話し方」を分かりやすく解説。
いずれはリーダーを任されたい。
という気持ちで手にとってみた本。
それでは、紹介していきます!
リーダーに必要なのは第3階層の話す力
著者はNHKで17年間、キャスターとして報道番組を担当。
現在は、国立大学法人長崎大学准教授でありスピーチコンサルタント。
企業の役員や経営者、政治家などに「リーダーとして人を動かす話し方」を指導している。
著者は、話す力には3つの階層があると。
階層 | 立場 | 目的 |
---|---|---|
第3階層 | リーダー | ・人を動かす ・周囲を巻き込む |
第2階層 | ビジネス パーソン | ・論理的に話す ・正しく伝える ・信頼関係を築く |
第1階層 | 一般 | ・緊張の克服 ・仲良くなる |
第1階層や第2階層の話し方では、指導力は発揮できない。
信頼される本物のリーダーに必要なのは第3階層のスキル。
話し方の本は多数あるが、それらを階層分けすると以下のとおり。
階層 | 代表的な書籍 |
---|---|
第3階層 | 『人を動かす』D・カーネギー 『影響力の武器』ロバート・B・チャルディーニ |
第2階層 | 『1分で話せ』伊藤羊一 『伝える力』池上彰 |
第1階層 | 『人は話し方が9割』永松茂久 『超一流の雑談力』安田正 |
「第3階層がいちばんスゴイ!」
ということではなく、自分の立場に合わせてその時に必要な階層のスキルを使い分ける必要があるのです。
本書では、第3階層のスキルに必要な以下の5つの要素を順番に解説しています。
本記事では、上記の中から特に印象的だった2つの要素について紹介していきます!
注目を集めるスキル「レトリカル・クエスチョン」
話の途中でうまく疑問形を使うと、相手の注目を集めることができます。
朝礼での部長のスピーチや、学生時代の校長先生のスピーチ。
たんたんと話が続くと、退屈で最後まで上の空だったなんてことも。
そこで、本物のリーダーは「レトリカル・クエスチョン」という疑問形を使うのです。
例えば日本ハムファイターズの新庄剛志監督。
ファンフェスティバルでこんな言葉を使っていました。
暴れてもいいですか?
感動させてもいいですか?
泣き笑いさせてもいいですか?
新庄剛志
伝えたい部分をあえて疑問形にして使っているのです。
他にも、アメリカの前オバマ大統領のスピーチの一部を紹介します。
私たちは、労働者たちが法律によって守られないような、偽善的なシステムを容認する国ですか?
私たちは、両親の手から子どもたちを冷酷に引き離す国ですか?
それとも私たちは、家族を大切にし、家族が一緒にいられるように行動する国ですか?
バラク・オバマ
疑問形を使うことで、注目を集められるのです。
レトリカル・クエスチョンのポイントは、「答えを求めない問い」にすること。
「暴れていい?感動させていい?」
答えは分かりきっていますよね?
分かりきったうえで、あえて疑問形にしているのです。
レトリカル・クエスチョンは世界中の財政界のリーダーが使っています。
- 元アップルCEOスティーブ・ジョブズ
- 元首相の小泉純一郎
- トヨタ自動車代表取締役の豊田章男
ビジネスの場面でも、リーダーは特に人前で話す機会が多くあります。
そんななか、聞き手を上の空のままで終わらせてしまうのか?
伝えたいことだけでも頭に残してもらうのか?
レトリカル・クエスチョンを使わない手はないでしょう。
聞き手を安心させるスキル「約束する」
リーダーは権限をもっています。
その権限をもって、相手を安心させるための「約束」をするのです。
約束とは、聞き手に確約を与えることであり、話し手の強い意志を伝えることができます。
ドイツのお母さんと言われた元首相メルケルも「約束」という言葉を巧みに使っていました。
自身がコロナの濃厚接触者となり、自宅待機期間をあけた後のこと。
イースター休暇を前にした国民に語りかけたスピーチを抜粋。
みなさんのなかには、「もう2週間も規制に従っている。あとどれだけ続くんだ?」
と思う人もいるでしょう。わかります。
ですが、私がいま解除日を申し上げ、約束を果たすことができなかったら、無責任になってしまいます。
私がみなさんにお約束できるのは、政府を頼ってくださいということです。
私も昼夜問わず、みなさんの健康を守りながら、元の生活を取り戻す方法を考えています。
政府と私個人がこの仕事を担うことに期待していてください。
それがまさに私たちが取り掛かっていることです。約束します。
アンゲラ・メルケル
つまり、コロナの規制を解除する日を明確にすることはできない。
だけど、「私と政府は収束のための働きを全力で行うことを約束する」と。
コロナという初めての病原体に、世界中の人々が不安を抱いている。
そんななか、首相の権限で元の生活に戻す最大限の努力を約束してくれたのです。
こんなリーダーの姿を見れば、国民はひとまず安心します。
結果を約束することは難しいかもしれません。
でも、行動を約束することならできるのではないでしょうか?
本書でおすすめしている、約束を使う構文が以下のとおり。
「私が、リーダーとして皆さんに約束できることは・・・」
リーダーの部分を肩書きではなく職種にすることで、誰でも使用可能になります。
信頼を得るために、ぜひ使ってみたいテクニックの1つと言えます。
まとめ【最強リーダーの「話す力」】
- 話す力は3階層に分けられ、それぞれ使う目的が異なる
- 話の途中で、答えを求めない疑問形を使うことで注目を集める
- リーダーの権限を持って約束することで、安心を与えたり信頼を得られる
「誰からも好かれるリーダー」としての話し方では一流とは言えない。
この考え方は今まで私にはなかったもの。
1〜2割のちょっとした威厳と、8〜9割の温かさが大事だと。
そのためには、信頼を与え、器の大きさを見せるテクニックと意識が必要。
経営者や政治家などトップリーダーは、生まれながらにしてその人格と話し方を持ち合わせているわけではない。
実は、話し方のコンサルを受けている人も多く、「リーダーとしての話し方」は学ぶべきものだった。
レトリカル・クエスチョンや約束という言葉を使って、少しずつリーダーとしての振る舞いを身に着けていこうと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。